営業マンが必ず持つ悩み。
「自分はしつこくないか?」「嫌がられていないか?」
私もその悩みを抱える営業マンです。
そんな悩みを払拭したい想いでこの本を読んでみました。
この記事では、「人間関係に関わるしつこさ」「人に嫌われないしつこさ」「人を動かすしつこさ」に焦点を当て、自分の経験も踏まえて本著からの学びを皆さんへ共有します。
私は誰か、簡単に説明
私はプライム市場上場化学メーカーで、自動車メーカーやTier1などを相手にセールスエンジニアとして働いています。
販売拠点の営業マンとして働く私に最も期待されていることは、他社に先んじた開発(一番開発)をするための情報を入手することです。
- 他社提案状況の入手
- 顧客の求めていることの正確な把握
- 顧客の意思決定プロセスの把握
- 顧客への自社技術のインプット
- 上層部面談による会社対会社の関係構築
販売活動の最前線で働く営業マンには様々な情報の正確かつスピーディーな把握が求められており、そのためには顧客の担当層やその上長と密なコミュニケーションを取る必要があります。
密なコミュニケーションを取ろうとすればするほど、「しつこい」訪問や連絡、時には会食等のお誘いをする必要が出てきます。
その時、「私はしつこくないか?」「先方は嫌がっていないか?」ということが常に脳裏にちらつきます。
恐らくこの記事を読んでいるあなたも同じ悩みを抱えている営業マンでしょう。
そんな悩みを抱える現役営業マンの私が、本署「結局、「しつこい人」がすべて手に入れる」を読んで得られた学び、感じたことを、自分の経験も踏まえて説明していきます。
大切なことは相手軸になっているかどうか
ザイオンス効果という言葉をご存じですか?
何度も繰り返して接触することで、好感度が上がっていく心理効果のことをザイオンス効果といい、ビジネスやマーケティングでも有効活用できる効果です。ですが、使い方を間違えると逆の効果を生んでしまうこともあるので注意が必要です。
好感度を上げる「ザイオンス効果(単純接触効果)」とは?ビジネスやマーケティングでの活用方法を解説! | CANVAS Lab(キャンバスラボ) Web制作のノウハウをお届けします。 | 株式会社キャンバス (canvas-works.jp)
要は、「人は接触回数が多いものに惹かれる」ことをザイオンス効果と言います。
上記の通り、この心理効果は人間関係だけでなくビジネスでも活用することができます。
しかし、記載の通り使い方を間違えると「嫌われる」「煙たがられる」といった逆の効果を生んでしまいます。
最悪ケースでは二度と会ってくれなくなるということに繋がる恐れがあります。
本署では、そのような逆の効果を生んでしまうしつこさを「悪いしつこさ」と呼びます。
自分本位にしつこさを発揮するのは「悪いしつこさ」であり、大切なのは「相手軸になっているか」だと筆者は言います。
相手軸になっているしつこさ、即ち「良いしつこさ」を上手く使うことによって、嫌われずに人の心を掴み、最終的には人を動かすことができるのです。
「良いしつこさ」とは?
まず押さえてほしい注意点は、「しつこさが通じない相手がいる」という事実です。
結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる 第7章より
この点は、「しつこさ」に悩みを抱えている営業マンの方なら当然認識している事実だと思います。
しかしながら、今一度この事実を認め、相手の気持ちを感じることに重きを置いてほしいと思います。
相手の気持ちを感じることができなければ、相手に踏み込み過ぎるかあるいはまったく踏み込めないかのどちらかに陥りがちだと筆者は言います。
相手がどういうタイプの人間かを見極めることが重要であり、その相手に合わせた対応を取ることで「悪いしつこさ」を回避することができます。
「悪いしつこさ」を回避できているしつこさとは、即ち「良いしつこさ」です。
本署では考え方や特徴の傾向が4タイプに分けられて説明されていました。非常に分かりやすかったためご紹介します。
- ドライバー
自分の意見は主張するが、感情的にならず冷静で合理的。早口で淡々と自分の意見を言う。結果を重視し、過程にはこだわらない。競争心が強くて行動が早い。目的のためには、厳しい判断も辞さない人。 - エクスプレッシブ
自己主張が強く感情的で、主体的。承認欲求が強く、挑戦的に行動するタイプ。新しいこと、話題性のあることも好きな人。 - アナリティカル
話すことより聴くことが多く、自己主張は控えめ。観察眼に優れ、データや情報を分析し、独自の見解を持つ人。冷静で論理的に考えるのが得意なタイプ。 - エミアブル
周囲の感情や意見、調和を大切にする。サポートをしたり、話を聞いたりするのが好き。明るい雰囲気で、人の気持ちや全体の調和を重視する人。
では、各タイプ別にどのような対応に対して嫌気を感じるのでしょうか。
- 合理的な「ドライバー」の場合
遠慮してあいまいな言い回しをするとイラっとさせてしまう。結論から伝えず、言い訳がましく状況説明から話すと、ムカつかれる。「準備」「調査」など手間に時間をかける人に対して敵意すら感じることもある。
所謂ストイック系ですね。 - 注目されたい「エクスプレッシブ」の場合
笑顔で関心を示さないと、「関心がないの?」と誤解される。「でも」「それもそうですが」とすぐに否定的な反応をするとイラつかれる。「他と一緒がいいのでは?」といった保守的な言動は面白くない人と思われる。
相手と一緒になって新しいことを検討していくという姿勢があるとウケがよさそうですね。 - 理屈や慎重さを大事にする「アナリティカル」の場合
「とりあえず」とノリで押し切ろうとすると、「頭が悪い」と思われてしまう。「上手くいかない」ことを想定し、予防策を考えないと、ヌルいと思われる。「事実」と「意見」が混同する会話では、話していることが理解されないことも。
裏を返すとロジックをしっかり組んで話せば物分かりが良い人とも捉えられますね。 - みんなの感情を大事にする「エミアブル」の場合
「こうしましょう!」と自己主張が強すぎると、ストレスを感じる。周囲の人への配慮のない言動をする人は、距離を置かれることも。会話の際、笑顔が無いと、怖いと思われてしまう。
足繁く通うことで人として信頼されることがポイントになるタイプですね。
相手軸で考え、相手がどのようなタイプの人間なのかを理解した上でしつこく活動する。
このような「良いしつこさ」を上手く使うことによって、人に嫌われずに人の心を掴み、最終的には人を動かすことができると筆者は言います。
更に重要な2つのポイント
上記学びに加えて、2点、非常に勉強になったポイントがあります。
1つ目は、「相手が欲しいと思う情報を手土産にする」ということです。
営業マンにとって、「今ちょうど近くに来ているのでちょっとお時間頂けないですか?」というセリフは常套句だと思います。
しかし、ただ会いたいというのは営業マンの自分軸の行動です。
あなたに会うメリットを手土産にしてお客さんに会うことが、相手軸の行動となります。
2つ目は、「聞きにくいことには点数をつけてもらう」ということです。
営業マンをやっている以上、何かしらの情報が欲しく担当者を質問攻めにしてしまうことがあるのではないでしょうか。
しかし、担当者も聞かれたところで情報をそのまま口にすることはできず、たとえ情報をあなたに与えてあげたいという想いがあったとしても、質問攻めは相手目線で考えると迷惑行為になります。
そんな時、こんな風に聞いてみるのです。
「今の提案は、10点満点で評価すると何点ですか?(〇点という返事に対して)どんなところがあれば10点になりますか?」
このような聞き方は相手にとって非常に答えやすい聞き方ですし、次の改善に向けてアドバイスをもらおうという前向きな質問と捉えてもらえます。
以上2点は、相手軸になっているしつこさであり、「良いしつこさ」の活動と言えるでしょう。
「良いしつこさ」で全てを手に入れよう
「良いしつこさ」をフル活用することができれば、嫌われないどころかむしろ相手から好かれる、相手を動かすことのできる営業マンになることができます。
しつこい=執着しているといった悪いイメージを捨て、しつこさで成功を手にする。
そんな営業マンになるべく、今日もしつこく食らいついていきましょう。
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