「接待ゴルフ」という言葉を聞いて、「古臭い」「今の時代では必要ない」「やりたくない」といったネガティブなイメージを持つ営業マンは多いのではないだろうか。
特に若手の営業マンは、新型コロナウイルスの感染拡大により会食等の機会も減っており、接待という言葉自体が耳慣れない人も多いだろう。
結論、接待ゴルフに限らず、会食といった接待はビジネス成果に繋がる効果的な手法であり、適切な接待相手やタイミングを見定めることで、大きな成果にも繋がりうる。
この記事では、接待ゴルフをビジネス成果に繋げるコツを説明し、接待ゴルフをする意義を皆さんに理解頂き、効果的な営業活動へ繋げて頂きたい。
なぜ営業マンは接待ゴルフをするのか
冒頭説明の通り、営業マンが接待ゴルフをする理由は「ビジネス成果に繋がるから」である。
私も接待ゴルフを始める前は、接待ゴルフを意味がないもの、あるいは効果があるとしてもお金やその労力を考えた時コスパが悪いものと思っていた。
接待ゴルフがビジネス成果に繋がる理由は以下の3つである。
取引先との関係を強化できる
普段商談上でしか話す機会の無い相手と、ビジネス外でコミュニケーションを取ることは、相手との関係強化に絶大なる効果を示す。ゴルフは嫌でも1日中一緒に時間を過ごすこととなるため、相手の家族構成や趣味などプライベートな話をすることができ、よりフランクな関係を構築することができる。お互いの人柄を知り合うことは、営業活動をしやすい関係性構築に繋がるのである。
担当者間で仲が良くなることに加えて、お互いの上司を連れて上司同士の関係を構築する等、人と人を結び付ける効果があるのが接待ゴルフだ。お互いの上司同士が繋がることが、今後の営業活動を進める上で非常に効果的な一手となることは言うまでもない。
取り組んでいる案件や取引先のオフレコ情報を入手できる
普段商談上で話すことが多いとしても、商談上で入手できる情報には限りがある。特に最近はWeb面談が一般的となり、面直での商談と比較した時、情報を抜くという活動がより困難になってきている。
接待ゴルフでは、「ここだけの話」といった情報を教えてもらえることが多く、特に案件の重要局面では、プロジェクトの今後の動きや、他社の動向、こちら側の提案に対する率直ななどフィードバック等、営業活動の次の一手を判断するうえで貴重な情報が得られるケースが多くある。
逆に、こちら側からあえて情報を耳打ちし、取引先にとっての「情報を教えてくれるキーマン」に自分がなることもできる。ビジネスは常にwin-winの関係を理想とするため、こちらから情報を与えることで相手からも自然と情報が出てくるような関係性に持ち込むことができるのである。
商談では伝えきられていない、こちら側の熱い想いを改めて伝えることも、プロジェクトの重要局面では大事な活動となる。
なかなか会えない人へ人脈が拡がる
普段なかなか会ってくれない人も、ゴルフとなると出てきてくれるといったケースが良くある。ゴルフというカードを持っているだけで、人脈を広げていくことができるのである。
商談のオフレコ情報はなかなかくれない相手でも、キーマンを紹介してくれたりすることがあり、取引先に対して多方面からアプローチをかけることでビジネス成果に繋がっていく。
人脈を多く持つことは非常に重要であり、他の部署しか持っていない情報を入手できたり、ある筋から入手した情報の裏どりをすることもできる。加えて、取引先の多くの人と人脈を持つことは、取引先の中での自分の存在感、ひいては自社のプレゼンスを高めていくことに繋がる。上層部まで人脈を繋げることができれば、営業マンとしてはかなり優秀な人材として捉えられるだろう。
接待ゴルフをビジネス成果に繋げるコツ
上段で説明した通り、接待ゴルフはビジネス成果に繋がる活動である。では、ビジネス成果に繋げるコツはなんだろうか。
仕事の話はこちらから持ち出さない
ビジネスのオフレコ情報を入手することは接待ゴルフの目的でもあるため、最終的には仕事の話をプライベートの場ですることが重要だが、あえて「仕事の話をこちらからしない」ということを意識してもらいたい。
特に初めてゴルフをする相手に対しては、むやみやたらに仕事の話をすると仕事のためだけにゴルフに誘ってきたいやらしい奴だと思われてしまう。まずはお互いの人柄を知り、フランクな関係を構築することを主眼としてゴルフをするようにしよう。このような活動を地道に続けることが、遠回りのようで最終的には大きなビジネス成果に直結していくのである。
相手が仕事の話を持ち出してきたときはチャンスである。がっつきすぎないようにしながらも、上手く情報を引き出し、こちらからも情報を出していく。そのチャンスが来るまでじっくり待つようにしたい。
情報を聞き出す前に、率直な意見を求める
仲良くなる活動から、ビジネスの情報を引き出す活動までの間に、ジャブとして打っておきたいのが「率直な意見を求める」活動である。
「ぶっちゃけ御社内では現在の提案はどういう風に捉えられてます?」「正直他社さんと比べてまだまだですかね?」「そもそもこの案件に関わらず、弊社の印象ってどうですか?」といった具合で、ざっくり相手の考えを聞いてみよう。
情報下さい、というニュアンスではなく、アドバイス下さい・力になって下さい、といったお願いベースの姿勢で話すことで、相手も気持ちが良くなり何かしらのコメントをくれるはずである。
時として、そもそも提案スピードが遅かったり、的を全く得られていない提案をしていたり、取引先の他部署にも根回しをする必要があるということが、後になって発覚するといったことがある。こういったズレを早いうちに軌道修正するにあたり、担当者からのちょっとしたアドバイスが生きてくることが往々にしてあるということは覚えておいて頂きたい。
お互いの上司を誘う
最初の接待ゴルフは関係を深めていくために担当者ベースで実施する方がベターではあるが、回数を重ねていくうちに互いの上司を呼んでゴルフをやると良い。
プロジェクトを推進していく上で、上司の鶴の一声というのは非常に重要であり、相手の上司を味方につける活動は是非行っていきたい。自分単独では呼べない相手でも、こちらも上司を呼ぶことでゴルフに引き出すことができる。上司には事前にどういったことを伝えてもらいたいかをインプットしておき、効果的なアプローチを取ってもらおう。
上司を呼んでプロジェクトを進めていくことは、取引先の担当者にとっても手柄となる。担当者と手柄を作り合うwin-winの関係を築くことができ、担当者間の関係もより一層強固なものにできるため、上司を呼んだゴルフは、効果的なタイミングで積極的に実行していくべきである。
接待ゴルフは自身のスキルアップ・評価にも繋がる
これまで接待ゴルフをやる理由と、ビジネス成果に繋げるコツを話してきたが、そもそも接待ゴルフは営業マンとしてのスキルアップや評価に繋がる活動である。接待と聞くと少しネガティブな面も感じてしまうかもしれないが、接待ゴルフを実行すること自体に大きな意義があることを最後に説明しておきたい。
あらゆる商談をセッティングする段取り力が身に就く
ゴルフ接待をいざ実行するとなると、やらなければいけないタスクや注意しなければいけないことが多くあり、実は非常に面倒な取り組みであることに気が付くはずである。
スケジュール調整や場所の確保、当日のスムーズな進行など、接待ゴルフを最初から最後までやり抜くことで、段取り力が圧倒的に身に就いていく。仮に接待ゴルフを全くしたことがない同期と比較すると、自分の方が上層部を巻き込んで商談をセットしていく営業マンとしての基礎力が高いことに気付くことだろう。
☞合わせて読みたい:接待ゴルフの段取り|誰も教えてくれないやることリスト・心得・マナー
トーク力や空気を読む力が鍛えられる
営業マンとして最も必要な基礎力である、コミュニケーション能力。コミュニケーション能力の中には、話題を提供するトーク力や、傾聴力、相づちを上手くつく力、空気を読む力など様々なスキルが含まれているが、接待ゴルフではそれら全てを鍛えることができる。
営業マンとして勘違いしてはいけないことは、ひたすら話し続けることが正義ではないという点である。相手がどういう人柄で、どのようなコミュニケーションを求めているのか、それを察知し、相手にとって心地の良いコミュニケーションを取る能力は、現場でしか磨かれない。
もちろん最初のゴルフ接待では、1日中時間を共にすることが非常に大変で、心も頭も疲れ切ってしまうかもしれない。しかし、接待ゴルフの場をこなしていくことで、徐々に誰とでも適切なコミュニケーションが取れる優秀な営業マンに近づいていくことができるはずである。
行動量の多い営業マンとして社内で評価される
昔と比べて、ゴルフに限らず接待のできる営業マンというのは少なくなってきている。私のイメージでは、取引先を接待に誘い、実際に会食やゴルフに誘い出せているだけで営業マンの上位50%には間違いなく入れている。
もちろん、営業マンとして必要なスキルは様々あり、接待力はそのうちの1つに過ぎない。しかし、接待をできる人が少なくなっている今日において、実際に接待ゴルフを実施しているだけで目立つことができ、社内で高評価を受けることできる。営業マンの評価において、ビジネス成果と同じくらい行動量というのは重要なKPIであり、特に接待に関しては差が大きく出てくる活動である。
接待ゴルフを実行することができる営業マンとして評価を上げ、最終的には大きなビジネス成果も創出することでトップ営業マンになることができるのである。
営業マンなら即行動。まずは誘ってみること。
接待ゴルフをする理由、接待ゴルフをビジネス成果に繋げるコツ、そしてそもそも営業マンとしてのスキルアップ、評価のために接待ゴルフをするべきであるということについてこれまで話してきた。
では、あとは実行に移そう。営業マンであるならば、即行動である。「とりあえず言ってみる」の哲学をもって、取引先をゴルフに誘うことが第一歩だ。誘ってみれば案外いけるものだな~というのが接待ゴルフのあるあるであるので、まずは誘い出し、接待ゴルフを経験しよう。
ビジネス成果を生み出すためなら何でもする、という優秀な営業マンになるために、是非接待ゴルフを実践してみることをおすすめする。
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