BtoBとBtoCって結局何なの?現役営業マンが自分の言葉で説明します。

job hunting
スポンサーリンク

就活を始めた途端よく目に入る、「ビートゥービー」や「ビートゥーシー」の文字。

それぞれ、Business to BusinessとBusiness to Consumerを指しますが、その違いをきちんと理解できている人は少ないのではないでしょうか。

特に BtoB は具体的なイメージを持ちにくく、”なんとなく”で BtoCの業界を選択してしまう人もいるのではないかと思います。

もちろん、直感的に自分がワクワクできる業界で仕事をするということも大切です。

この記事では、”なんとなく”の部分をより具体的にはっきりと理解していただくために、現在 BtoBのビジネスに従事している筆者がそれぞれの業界について様々な角度から違いを説明していきます。

BtoBとBtoCの定義

一般的なそれぞれの定義は上の通りです。

対企業の取引か、対個人(一般消費者)の取引かという違いがあるものの、どちらもお客さんが当然存在します。

そしてその違いからくる具体的な仕事のイメージを正しく理解してください。

ちなみにBtoC企業は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、百貨店、インターネット通信販売事業、飲食店などを指しますが、より分かりやすく理解してほしいのでここでは広義に捉え、ビールや清涼飲料水、自動車といった完成品メーカーもBtoC企業として考えて説明していきます。

  • BtoC企業=最終消費者が手に取る完成品・サービスを作ったり売ったりする企業
  • BtoB企業=取引先の企業に素材や機械・サービスを作ったり提供する企業

具体的な仕事のイメージの違い

上述の通り、ビジネスの対象が個人か企業かによって、扱う商品が異なってきます。

BtoCの場合は、私たちのような一般消費者が日常手に取る完成品を扱います。

今私がブログを書くのに使用しているノートパソコンや、毎日肌身離さず持っているスマートフォン、仕事終わりに飲むビールや勉強のために使用するボールペンなどのことです。

一方、BtoBの場合は、取引先の企業がモノを製造・販売するための素材や機械・サービスを扱います。人材も扱う商品に該当します。

ここで、あえて「モノ」と言っているのは、取引先もまた BtoB 企業で、他の企業へ「モノ」を提供しているからです。

ビジネスは川上から川中、そして川下、最終的には一般消費者へ流れていきますので、より細かく説明すると、BtoBtoBtoBtoCのような構造になっています。

この構造のどこを担うかによって、仕事の規模感や質、社会への影響度(目に見えるのか、縁の下の力持ちなのか)は異なります。

今回は、分かりやすく理解できるようBtoCよりも川上の企業は全て BtoB 企業として捉えていますのでご承知おきください。

購買決定までのプロセスの違い

前置きが長くなりましたが、扱う商品が違うとマーケティング方法に大きな違いが出てきます。商品の提供先であるお客さんの購買の判断基準となる視点が異なるためです。

BtoC:必ずしも「良いもの」が売れるわけではない

「あ~喉乾いた、これおいしそう。買おう。」

このような思考の流れで購買を決定するのは我々のような最終消費者です。単純な脳の動きのようですが、購買を決定するうえで様々な要素が影響を及ぼしています。

  • CMで有名な女優が宣伝していたから
  • 知名度の高いブランドで信頼感があるから
  • デザインがかっこいいから
  • キャッチ―な商品名だから
  • 周りの人がみんな使っているから
  • 今まで見たことのない商品だから

などなど、無数の要素が挙げられます。そしてこのような脳の動きの特徴は、購買決定までにかける時間が短いことです。

値段の高いものや長く使うものの買い物にはより長い時間がかかるとはいえ、BtoC の取引は BtoB と比べてはるかにスピーディです。

あらゆる場面で発生する購買のチャンスの前に、消費者に事前に与えておくイメージが極めて重要になります。

例えばあなたが眠い時にふとエナジードリンクを飲もうと思った時、いちいちそれぞれの商品を数日かけて自分で試し、効果測定結果とコストを天秤にかけてから買うものを決めたりしないですよね?

商品の特徴は簡単にネットの口コミやSNSから調べることができます。

必ずしも「良いもの」が売れるのではなく、「良いものということをきちんと伝えられているもの」が買われるのです。

ですので、BtoC企業で働く場合、市場で実際に商品を手に取る人を具体的にイメージし、彼らが商品を選んでくれるにはどうしたらよいか、リピートしてもらうにはどうしたらよいか、ということを考えて商品やサービスを生み出し、売り出すというところが醍醐味です。

世の中を大きく動かすヒット商品を生み出すこともできるのは華やかなところですね。

また、購入する商品の切り替えが目まぐるしく起こるため、次から次へと新商品を生み出していく必要があります。

開発スピードが速く、常にアンテナを張ってトレンドをキャッチアップする必要があるため、世の中の早い流れと一体となってビジネスができるというのも興味深い所だと思います。

以上のように、ブランドコミュニケーションを行い、知名度やブランド力を向上することが極めて重要となるのがBtoC ビジネスです。

ちなみに、BtoCでは宣伝活動に重心が置かれているようにも感じますが、実際のCMや広告を作ったり、宣伝方法を考えたりする広告代理店やコンサルタントは、企業へ商品(サービス)を提供するBtoB 企業ですのでご注意ください。

ある意味、広告代理店は B to B企業でありながら、常に最終消費者(Consumer)を相手にビジネスを考えるという BtoC的な部分も持ち合わせていると言えますね。

BtoB:mustを抑えつつwantに応えることで、高付加価値を顧客に証明する

「性能は?コストは?安定供給は?・・・社内で稟議をかけます。」

一方 BtoB ビジネスは、購買プロセスが非常に長いです。

BtoC と異なり一度取引を持つと、数年単位で取引が続くため、購買を切り替えるハードルも高くなります。

BtoC の場合は、たまたま行った店にいつも買っているものがなかっただけで別商品を購入し、その後その新しい商品を買い続けるようになるといったことも考えられますが、BtoB の場合そんなことはありません。

技術力や費用対効果、ビジネスの継続性などが重要であり、それらの優位性を顧客へきちんと理解してもらうためにどうしたらよいか考えなければいけません。

それらの優位性を証明するために試験をしたり規格を取得する必要があったりもします。

また、「あったらいいな」というwantのみならず、「必ずこれは必要」というmustのニーズを把握することが大切です。

結果として爆発的に売れる商品とは、このmustを抑え、かつwantの部分で高付加価値を提供する商品となります。

マーケティングという観点では、世の中の流れから広く需要を探すマーケティングというよりは、顧客がいる特定の業界の真のニーズを深堀りし、課題を解決するような提案型のマーケティング手法となります。

提案の際にも、購買者は商品のことに関してそれなりの知識を持ち合わせていますので、話が通じる相手を納得させるための論理的な説明やエビデンスが求められます。

また、時には顧客もまだ把握できていないような課題や将来のニーズからビジネスが始まることもあります。営業には BtoCビジネスとはまた違ったスキルが必要です。

BtoB企業は、普段生活をしていても耳にもしないようなところでも、業界内ではとても有名で高いブランド力を持つということがしばしばあります。

対企業ですので、一つ一つの取引の価格・規模が大きいというのも特徴です。

ビジネスの原点の違い

これまで説明したように、購買を決定してもらうためには、想定しているお客さんに価値があると感じてもらえる商品(サービス)を作る必要があります。そのためには、以下の2つの考え方が非常に重要です。両者の考え方は、BtoB、BtoCどちらにおいても重要な考え方であり、どちらか一方のみに拘ってはいけませんが、両者の間でその比重が少し異なってきます。それはビジネスの原点が違うからです。

BtoC寄り:マーケットイン

「市場や顧客の視点に立ち、商品やサービスの開発を行うこと」を意味します。

この考え方は、顧客のニーズに基づいて、ニーズを満たすような商品を開発・提案することを指すため、BtoC寄りの考え方です。

現在はSNSが普及し、あらゆる情報やものであふれる時代ですので、よりこのマーケットインの考え方が重要となってきています。

マーケットインでは市場のニーズを満足することが目的ですので、スピーディな開発が求められます。

あくまでニーズを満たすことを前提に開発を行うため、全く売れないといったリスクは少ないです。

理想としては、瞬発的にビジネスが動き短期間で結果を出す、という状態が期待され、モチベーションを高く維持しながら働くことができるはずです。

一方、市場に振り回されて企業の軸がブレてしまうことや、革新的なブレイクスルーが生まれにくいのがマーケットイン思考の短所ととなります。

BtoB寄り:プロダクトアウト

「企業の方針や強み・技術に基づいて商品やサービスの開発を行うこと」を意味します。

マーケットインのような顧客視点ではなく、企業視点で考え、企業が生み出した新たな価値を顧客に後から理解してもらうというのが、マーケットインとの大きな違いです。

企業の高い技術力を正しく理解してもらい購買へ繋げるという点では、BtoB寄りの考え方となります。

プロダクトアウトでは自社の強みを最大限に生かしてビジネスが生まれるため、軸がブレにくく技術や質にこだわりを持った商品(サービス)を提供することができます。

また、短い周期のマーケットに影響を受けずに商品開発に取り組むことができ、時間はかかりますが世界をあっと驚かせるような革新的な商品を世に生み出すことができる可能性も秘めています。

ただし落とし穴として、企業にとっては良いと思う商品でも顧客からの支持が全く得られないということが考えられます。

顧客視点を軽視しすぎてしまうと、いわゆる自己満のビジネスとなってしまい、世の中に価値を提供することはできません。

どちらにやりがいを感じるかを自己分析する

どのようなお客さんのどのようなニーズに応えるために働くか、どのように世の中へ価値を提供するか、これらを考えると、BtoCとBtoBの違いがイメージできるようになってきたと思います。

ビジネスが想定するニーズの源やお客さんが異なるということは、商品が使用される場所、すなわち日の目を浴びる場所も異なってきます。

ビジネスの結果が、目に見える形で世の中にインパクトを与えるのか、それとも目には見えないけれど縁の下の力持ちとして世の中を支えているのか、ここに大きな違いがあります。

あなたはどちらにやりがいを感じますか?どちらも素敵なお仕事です。

BtoC:「この車、お父さんが作ってるんだよ」

完成品を手掛ける BtoCビジネスでは、自分が手掛けた商品やサービスを世の中の多くの人に手に取ってもらうことができます。自分の仕事の成果が目に見えて感じられるのが素晴らしい所です。

自分の手掛けたものが実際に使われているところを目に見ることができるのは冥利に尽きますね。自分の仕事が世の中を変えている、影響を与えているとしみじみ実感できるはずです。

BtoB:「この車のタイヤのゴムの原料に使われている樹脂はお父さんが作ってるんだよ」

BtoBtoBtoBtoCでしょうか。

縁の下の力持ちとして世の中を支えることができるのが BtoBビジネスです。

取引の規模感も大きいため、知らず知らずのうちに大きなインパクトを世の中へ与えることができます。

例えば、熱伝導性の高い熱交換器を商品として扱っている場合、その熱交換器を用いた省燃費性の高いクーラーが世に出回ることで、地球温暖化を抑制し全世界へ価値を提供することができます。

誰もクーラーの中の熱交換器をどの企業が作っているかなんて知りませんが、その企業で働いている人はひそかにやりがいを感じながら誇りをもって仕事をしているはずです。

一つの企業の中にどちらのビジネスも存在する場合もある

例えば、旭化成は「サランラップ」という商品で、あらゆる家庭の炊きすぎたご飯をおいしく冷凍することに貢献している一報で、ポリエチレンやポリスチレンなどの石油化学製品を展開し幅広い産業のモノづくりを支えています。(旭化成社員ではありませんが、就活中に出会った素敵な企業のうちの一つなのでご紹介させていただきます。)

自分がやりたいことは何なのか、就活の軸は何なのかをじっくり考え、納得のいく企業選びをしてください。

今の世の中は転職へのハードルが非常に下がってきていますが、転職しなくとも、いわゆる社内転職のような異動をすることで、BtoB もBtoCも、川下も川中も川上も経験できる可能性があります。

いろんな人の話を聞く中で情報収集をしっかり行いましょう。

BtoF

これはBusiness to Future(自分で考えました。)を指します。

大学での基礎研究や、何十年後、何百年後といった将来の技術への投資などがこのビジネスに当たります。今は全くお金にならないビジネス(お客さんもまだいない)を対象に仕事をすることも、魅力的な仕事だと思います。

なにより、まだ答えがない未知の領域を対象にすることは、知的好奇心を常に満たしてくれるためワクワクしながら働くことができるのではないでしょうか。

もちろん、将来の価値を相手に伝え、お金が発生するビジネスにしなければならないという点で簡単なことではないですが。

最後に

私は現在 BtoBビジネスのセールスエンジニア(技術営業)として働いています。

それはなぜか。技術力と提案力でお客さんの課題解決に貢献する仕事がしたいと思っているからです。

より値段の高いものを価値のあるものと理解してもらい購入してもらうことは非常にやりがいを感じますし、お客さんもまだ見えていない課題やニーズを一緒に探し、お客さんと一緒になって商品を世に生み出していくというような商品開発がしたいと思っています。

自分がやりがいを感じることは何なのか、長所を活かせることは何なのか、面白いと思って取り組めることは何なのか、時間をかけて深堀りをし納得のいく仕事を見つけてほしいと思います。

人の興味は時間の経過に合わせて変わっていくものですが、少なくとも、今一番やりたいことを自信をもって選択し、勢いをもって就活に取り組んでもらえれば幸いです。

スポンサーリンク
job hunting
スポンサーリンク
wata!をフォローする
しがないサラリーマン、wata!のブログ

コメント

タイトルとURLをコピーしました