オランダって小さい国なのになんでサッカー強豪国なんだろう?って思いませんか?
オランダ駐在時に地元のチームに所属していた筆者が、体験談に基づきオランダのサッカー育成の現場をご紹介します。
ヨーロッパ全体の少年サッカーにも通じるものがあると思いますので、ヨーロッパ駐在予定があり、お子さんがどこでサッカーを続けるべきか悩んでいる方にも是非読んでいただきたい内容となっています。
オランダサッカーの歴史
オランダはFIFAランキングで1位になったこともある世界でも屈指の強豪国です。ヨハンクライフやファンバステン、近年ですとファンニステローイやファンペルシー、ロッペンなど、世界的に有名な選手を輩出してきました。
しかし、意外とW杯優勝経験は未だにありません。2010年の南アフリカ大会で準優勝だったことは記憶に新しいと思います。
そんなオランダサッカーですが、1970年代にはヨハンクライフらによって「トータルフットボール」と呼ばれるサッカースタイルを誕生させ世界を魅了しました。
今回はオランダの独自のサッカー理論について深く踏み込みませんが、そんなオランダサッカーを支える少年サッカーの教育について、体験談に基づいてご説明いたします!
オランダのサッカー育成について
オランダの人口は1,600万人程度ですが、サッカーの競技人口は100万人程であり、人口の6%程度の人がサッカーをしていることになります。(Wikipedia情報)
一方日本のサッカー競技人口は2020年で約82万人と、総人口約1億2600万人の0.7%ですので、いかにサッカーが人気であるかが分かると思います。
日本サッカー協会登録者数参照サッカー選手登録数|データボックス|組織|JFA|日本サッカー協会
チームの規模・体制
私が所属していたSc’t Zand(通称:ザンド)についてお話します。
Zandの公式HPがありました↓
Voetbalvereniging Sc ‘t Zand Tilburg (sctzand.com)
まず、当時のオランダの少年サッカーは、年齢に準じて以下のカテゴリーに分けられていました。
- A:17~18歳
- B:15~16歳
- C:13~14歳
- D:11~12歳
- E:9~10歳
- F:7~8歳(G以下があった記憶はありません)
そして、その各カテゴリーの中でも数字でチームがレベル分けされています。当時のZandは小学校3~4年生世代のEで、E1~E18までありました。各チームの人数は12,3人程度です。(4年生までは8人制くらいのはず)ちなみに私は3年生でE9、4年生でE7でした。
要は、Zandというチームで考えると超マンモスチームとなります。
Zandは規模が大きい方でしたが、どこもこのレベルの規模感となっており、各チーム天然芝・人工芝のグラウンドをそれぞれ複数持っており、クラブハウスや、それなりのスタンド付きのグラウンドも1つは持っています。毎回芝生でボールを触れる素晴らしい環境が整っており、オランダサッカーが強くなっていく理由が分かります。
どのレベルのチームでも平等にグラウンドを使用することができるので、レベルに関係なくこの素晴らしい環境の恩恵を受けることができます。練習は1/2~1/8コートで行いますので、同時に20~30チームが練習している規模感です。
また、どのようなシステムだったのかは不明ですが、地域のTVにはチームの連絡用チャンネルがあり、
試合結果や中止連絡、選手のカテゴリー分け発表などをTVで確認することができました。そのくらい、地域にも根付いた強力な体制が敷かれていたということになります。
指導・レベル感
先ほど説明したように、E7やE9といったレベル分けがされており各年代の1(EでいうとE1)のチームがトップチーム扱いとなります。
トップチームの指導者はライセンスを持っていたのかもしれませんが、中級以下のチームの指導者は、親御さんやボランティアなど普通のお兄ちゃんやおっちゃんです。
言葉が分からなかったので指導レベルを肌で感じることはできませんでしたが、とにかくよく褒められていた記憶があります。ちなみに、走ったりといったフィジカルトレーニングをした記憶は一切ありません。
私自身のサッカーレベルは、小学校6年生の時に市のトレセンに落ちてしまうくらいですが(@日本)(超ショックでした、、中学校では地域トレセン選出経験があります。。)E7では完全なるエースで、物足りないくらいのレベル感ですね。
E1,E2はめちゃくちゃうまいけれど、E3~E10くらいまではみんなトントン、E11以下は遊びレベルの初心者もいる、といったイメージです。
Zandは強いチームでしたので、他のチームのトップチームにE7で勝利することも時々ありました。
シーズン中のチーム移動はなかったはずですので、日本から異動する場合は4月が多いと思いますが、シーズン中ですので体験練習の時にできるだけ上のレベルのチームに参加することをお勧めします。
といっても、6月くらいにはシーズンが終わるので、明らかにうまい選手であれば9月から上のレベルのチームに移籍となるはずです。
評価については、指導者が各選手の評価を行い、その評価をもとに毎シーズンチーム分けが行われます。ですので、チームメイトとは1年でお別れです。(運よく2年連続同じチームになる子もいます)
レギュレーション
練習は平日に2回、2時間程度行います。小学生ですので、簡単なパスやシュート練習をして、基本はミニゲームでした。
そして、これがオランダのサッカー教育の素晴らしい所だと思うのですが、プロと同様に、9月~6月までのシーズン中は毎週試合が組まれます。シーズンを2つに分け、前半後半それぞれ10チームほどでホーム&アウェーのリーグ戦を行うのです。
年に2回ほど、1日で一気に優勝を決めるトーナメント戦もあり(カップ戦的なイメージ)年間を通してリーグ戦とカップ戦を戦えるという、非常に素晴らしい制度です。
やはり試合が選手を一番成長させると思いますので、この制度が世界でも戦える強靭な選手を育てていくのだと思います。
また、日本よりも一足先に、小学校5年生(カテゴリー的にはD)からフルコートでの11vs11による試合となります。グラウンドの環境面、試合のレギュレーション、コートサイズなど総じて考えると、日本に比べてオランダの方がはるかに少年サッカーの環境が整っているといわざるを得ません。
まとめ
結論、オランダの少年サッカー育成環境は最高です。恐らく隣国のドイツなどヨーロッパ全体を通して環境は整っているのではないかと思います。改めてまとめると、オランダの少年サッカー育成の環境は以下の通りです。
- 素晴らしい芝生のグラウンドを複数持ったマンモスクラブが存在し、サッカーのレベルに関わらずその恩恵を受けることができる。
- 指導レベルがめちゃくちゃ高いわけではないが、実力に応じて細かくレベル分けされているため自分のレベルにあった環境でサッカーをすることができる。
- プロと同様レギュラーシーズンは毎週試合があるため、試合を通して成長することができる。
言葉が通じなくてもサッカーはできますし、駐在予定のある方は、ぜひ最寄りのサッカーチームに行ってみてください!
(おまけ)オランダでのサッカーにまつわる思い出
フェイエノールトやヘラクレスの練習を見学しに行きました。
当時はキャリア絶頂期の小野選手がフェイエノールトに、筑波大学休学中にして1シーズン目からゴールを量産していた平山選手がヘラクレスに所属していました。また、後にリバプールでも活躍するオランダ代表のカイト選手にサインをもらうこともできました!
(大興奮!!)
今も実家にサインボールが飾られています。
当時と比較すると今はオランダリーグ(エールディヴィジ)に所属する日本人はたくさんいます。堂安選手、菅原選手、中山選手、最近ですと前田選手など、たくさんの選手が活躍していますね。吉田麻也選手や本田圭佑選手など、オランダリーグで活躍した後ビッグクラブへ移籍していった選手もいますので、今後の活躍に期待です!!
個人的にはフローニンゲンからシャルケに移籍した板倉選手に期待しています!
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