これから海外駐在の予定のある方、お子さんの学校について悩んでいませんか?
日本人学校に通わせた方が良いのか、せっかくだからインターナショナルスクールか、はたまた、可愛い子には旅をさせよ、現地校に通わせるか、、、
お子さんの未来を考えた時、通う学校の選択は非常に難しい問題だと思います。
本記事では、
- 日本人学校
- インターナショナルスクール
- 現地校
それぞれのメリット・デメリットを整理して、自信を持った判断ができるよう後押しします。
小学校3年生~5年生の3年間オランダに駐在し、日本人学校へ通っていた筆者が、自分の体験談も踏まえて具体的に説明させていただきます。
現地校やインターナショナルスクールに通っていた友達と遊ぶ機会もよくありましたので、彼らから聞いた話や彼らを見ていて感じたことも踏まえて、バランスよくご説明します。
尚、想定している年齢は、6~15歳(小学校・中学校年代)です。
☞関連記事:海外駐在が決まったが、家族を連れて行くか悩んでいる方へ(体験談)
各学校の簡単な比較
日本人学校 | インター校 | 現地校 | |
メリット | 日本語で教育受けられる 少人数英才教育(例外あり) 友達の心配なし | 英語がペラペラになる 国際人になれる | 現地の言葉を習得できる 現地の友達ができる 母国が増える |
デメリット | 外国語能力△ 距離的に通えない可能性 | つらい経験するかも 自分は何人なの?問題 | 授業が理解できない 国によっては通えない |
どのタイプの学校に通ったとしても幼少期に海外駐在すること自体、以下のようなメリットがあります。
- 外国語(英語)への苦手意識が無くなり、得意になる
- 人の前に出て自己主張ができるようになる
- 習い事など工夫すれば、少なからず現地の友達ができて異文化交流ができる
あとは、ご両親の考え方に合わせて、最もしっくりきた学校へ送り出してあげることです。
いずれの学校に通うとしても、子供にとっては新しい環境で戸惑うことばかりですので、子供がなんとか自力で前へ進んでいけるよう、うまくフォローしてあげてほしいと思います。
それでは、以下に各学校のメリットデメリットを詳しく書いていきます。
日本人学校:超個別指導塾みたいなもの
日本人学校とは、日本国政府の文部科学大臣が管轄している在外教育施設のひとつです。
一部例外もありますが、基本的には小学部と中学部が一緒になっていることが多いです。
高校入学のタイミングで日本に戻る方がほとんどとなっています。
☞合わせて読みたい:【海外駐在】体験談|日本人学校と日本の学校の違い
日本人学校のメリット
- 日本語で教育を受けることができる
- 少人数の超英才教育を受けることができる(例外あり)
- 友達の心配が少ない
1つずつ説明していきます。
日本語で教育を受けることができる
これは親としては非常に安心できる要素だと思います。
教科書も文部科学省指定のものですし、言語による理解不足の心配がありません。
日本語で質問ができ、分からないところをきちんと解決することができます。
ちなみにですが、日本人学校では現地の母国語や英語の授業は必ずあるはずですので日本の学校よりもより外国語に特化した授業バランスになると思います。
得意な人は小学校のうちに英検2級まで取ったり、ロードオブザリングの映画を英語吹替字幕なしで見てたりしてました。
少人数の超英才教育を受けることができる(例外あり)
個人的にはこのメリットはかなり重要だと思っています。
私が通っていた日本人学校の場合は、当時全校生徒(小中合わせて)50~70人くらいでして、ひとクラス4~8人くらいでした。
先生一人あたりの生徒数が日本の学校に通っている場合の1/10~1/5程度ですので、生徒一人ひとりに手が行き届く、最高の教育の場だと考えます。
前述のとおり、分からないところはすぐに質問できるし、授業の時間も相対的に密になりますので、かなり細かい所まで指導してくれます。
また、日本の学校では挙手しない限りは、人前での発表等は避けて乗り切ることができますが、日本人学校の場合少人数ですので、嫌でもしょっちゅう発表の機会が訪れてきます。
引っ込み思案な子でも、自然と人前で堂々と話す力がつく素晴らしい環境です。(学芸会でも、必然的に全員にたくさんのセリフが与えられます。)
加えて、日本人学校の教員というのは自分で手を挙げて面接をくぐり抜けてきた方たちですので、パッションのある方が多く、熱血指導を受けられます。(ユニークで面白い方ばかりでした)
ただし例外もありまして、マンモス校に入学した場合は日本の学校と規模感は変わりません。
オランダだとアムステルダム日本人学校、ドイツですとデュッセルドルフ日本人学校などがそれにあたります。マンモス校の場合、超英才教育とは言えませんので注意が必要です。
当時の知人たちは、旧帝国大学など名門大学に入学している人ばかりという印象ですので、当時の英才教育が影響しているのではないかと個人的には思っています。
勉強に置いてかれるということがほとんどないため、勉強の面白さを知ることができ、知的好奇心を持った子供が育つという面もあるのかもしれませんね。
友達の心配が少ない
最後にこの部分には軽く触れておきます。
日本語で話すことが出来ますので、人見知りで臆病な子でも友達づくりの心配はいりません。
インターナショナルスクールや現地校に行くと、言葉の壁と文化の壁がありますので、友達作りという点では不安がありますね。
日本人学校のデメリット
- 帰国子女にしては外国語能力が向上しにくい
- 通える範囲に学校が無い場合がある
帰国子女にしては外国語能力が向上しにくい
これは私自身のコンプレックスでもあるのですが、インターナショナルスクールに通っていた帰国子女と比べると、英語レベルが中途半端で悔しい時があります。
また、せっかく現地で暮らしていたのに現地の言葉をほとんど話せないというのも、今となっては悔しいことです。
日本という国を出て、外語語能力が向上しやすい絶好の環境に身を置いている以上は、インターナショナルスクールや現地校に通い、外国語を1つ以上習得して帰国することを目指しても良いかもしれません。
通える範囲に学校がない場合がある
日本人学校は、日本人が住んでいそうなところにしかないため、駐在する国や地域によってはそもそも日本人学校が無い場合があります。
また、あったとしてもスクールバスで1時間以上かけて通う必要があったりします。(私の場合は毎朝1時間半程度かけて登校していました。)
駐在する国や地域に日本人学校があるのかまずは確認してみてください。
インターナショナルスクール:異文化交流の刺激
インターナショナルスクールは直訳すると国際学校であり、異文化体験の機会として選択されることも多くあります。
日本に住んでいる日本人でも、わざわざインターナショナルスクールに通う人がいたりしますね。
学費だけで200万円以上が目安(日本の場合)とも言われており、学費は高いイメージです。
インターナショナルスクールのメリット
- 英語がペラペラになる
- 様々な文化の人と触れ合い、たくさんの刺激を受けることができる
英語がペラペラになる
一番のメリットは英語能力が飛躍的に向上することでしょう。
特に幼少期は言語習得能力が高いので、1年も通っていれば英語でペラペラ喋れるようになるはずです。
インターナショナルスクールには様々な国籍の子供がいるため、英語が苦手な友達と一緒に勉強を頑張る環境もあると思います。
授業も多国籍な生徒を前提に行われるため、何も分からず置いてかれるということもなさそうです。
「小さいころから英会話教室に通っていた」程度の学習では身に着けられない、英語のニュアンスや発音、スラング、リアクションなどを習得することができるのが魅力です。
様々な文化の人と触れ合い、たくさんの刺激を受けることができる
いわゆる国際人として育っていくことができるのがメリットです。
日本人特有の考え方にも縛られず、多様な考え方やバックグラウンドを受け止めることのできる豊かな人間として成長することができると思います。
ダイバーシティが謳われる現代において、重宝される人材ですね。
インターナショナルスクールのデメリット
- 差別等、つらい経験をする可能性がある
- 自分は何人なのか?問題
差別等、つらい経験をする可能性がある
こんな経験をすることはほとんどないと思いますし過剰に心配する必要もないのですが、起こる可能性があるということは認識しておく必要があります。
かなりエネルギッシュな環境に一人で飛び込むことになりますので、特に初めのうちは溶け込むのが大変かもしれません。
しかし、その分強くたくましく育つと思いますし、自分で主張できる子に自然と育っていく環境であることは間違いありません。
自分は何人なのか?問題
これは海外駐在経験のある職場の上司が言っていたのですが、アイデンティティを確立していく小中学生時代に、日本人や日本の文化に触れずに育ってしまうと、日本を母国と感じなくなるのではないか、ということが心配になるようです。
あくまで日本人であることに誇りをもって育ってほしい、という考え方の場合、インターナショナルスクールは不向きかもしれません。
ただし、私の大学の友人はインターナショナルスクールで幼少期を過ごしていますが、逆に私よりも日本のことを知っていて、ただの超優秀なバイリンガルでした。
最終的には子供自身がどう考えるかが大切で、それを上手くアシストしてあげれば問題ないようですね。
現地校:駐在先が第二の母国になる
現地校は、他の2つとはかなり異なります。
皆さんも、小学校や中学校で外国人がクラスメートにいた経験などあるかもしれませんが、現地校に通う場合、我々日本人はクラスに唯一存在する”外国人”として扱われます。
現地の先生が現地の子供たちを教育するための場ですので、言語はもちろん、考え方やルールなども駐在国に合わせる必要があるというのが特徴的です。
現地校のメリット
- 現地の言葉を習得することができる
- 現地の友達がたくさんできる
- 第二の母国ができる
現地の言葉を習得することができる
自分が暮らした国の言葉が話せることは、非常に素敵なことです。
私自身、オランダ語の挨拶や自己紹介はできても、日常会話をすることはできません。
せっかく暮らしたことがある国の言葉を話すことができないのは、今振り返るととても悲しいです。
また、言葉を知ると、自然とその国の文化や考え方にも触れることができます。
インターナショナルスクールのように超国際的な経験はできませんが、狭く深く、その国のことを知ることができるのは素晴らしいことです。
現地の友達がたくさんできる
最初は言葉の壁があるかと思いますが、歳が小さければ小さいほど、言葉が通じなくても友達は自然と増えていくと思います。
現地の友達ができ、一緒に公園で遊んだり、誕生日会に招待されたり、喧嘩をしたりすることで、その国の子供のように育っていきます。
第二の母国ができる
バイリンガルどころか、文化や考え方も身に着けた、二重国籍人間のできあがりです。
将来、かつて住んでいた国にまた「帰りたい」と思えることはとても素敵なことで、自分の母国と思える国が増えるなんて、現地校に通った人にしかできない貴重な経験ですね。
現地校のデメリット
- 授業が理解できない
- 駐在する国によってはそもそも難しい
授業が理解できない
授業を理解するための現地語の習得には3~5年かかると言われています。
インターナショナルスクールの場合は、ある程度進行スピードに配慮があるはずですし、英語は全く縁のない言葉ではないため、過剰に心配する必要はありません。
しかし、現地校の場合は授業を全く理解できない恐れがあります。
オランダにいた時、現地校に通っていた友達が時々日本人学校に体験入学に来たりしていたのですが、確かに一人だけ勉強の理解度が著しく低かったのにびっくりしたのを覚えています。
実は、在外教育施設には、日本人学校のほかに補習授業校というものがあります。
一般に補習校と呼ばれ、日常の学校教育ではカバーできない内容を週末に補習授業として行う学校です。
現地校に通う場合は、補習校に通ったりご両親が家でフォローするなどして、子供の教育をサポートする必要があると思います。
駐在する国によっては難しい
駐在する国によっては治安などを理由に現地校へ通うこと自体が難しい場合があります。
検討する前に現地の学校や街の治安を調査する必要がありますね。
まとめ
冒頭にも述べたように、どの学校に通うにしても幼少期に海外駐在するメリットは確かにあります。
ご両親で子供を支え、日本で暮らしていては決してできない様々な経験をさせてあげれば、幅も深みもある素敵な大人へきっと成長していくはずです。
あとは、ご両親の子供の育て方に関する考え方と、子供の年齢、滞在期間を考慮して自信をもって判断いただければと思います。
公益財団法人海外子女教育振興財団のHPに、よくあるご相談とその回答が纏められていましたので、
こちらも確認してみて下さい。
教育相談室 Q&A よくあるご相談 回答 | 海外子女教育振興財団コーポレートサイト (joes.or.jp)
☞関連記事:【体験談】海外赴任・海外駐在前に準備・確認すべきこと10選
ちなみに、私のおすすめは、、、
ひとクラスの人数が10人以下程度の学校であれば日本人学校、そうでない場合はインターナショナルスクールをおすすめします。
ひとつtipsをお伝えすると、何でもよいので現地で習い事をしてみてください。
スポーツでもよいですし、ピアノなど楽器でもOKです。
チームメイトや先生、友達の親御さん等、現地の人と関わりを持つことができ現地の文化にも触れることができるため、非常に良い経験になると思います。
それでは、一生に一度の素敵な海外駐在生活をお楽しみください!
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