これから海外駐在・海外赴任される方で、ご家族を連れて行くか、単身赴任で行くか迷っている方はいませんか。本記事は以下のような方向けの記事となっています。
- 近いうちに海外駐在・海外赴任することが決まっている
- 子供を含めた家族がいる
- 家族を連れて行くか悩んでいる
- 正直家族を連れて行きたいが、子供や配偶者の人生を考えると思い悩んでしまう
このような方が、納得感を持って決断してくれるよう、本記事では海外駐在・海外赴任に家族を連れて行くメリット・デメリットをご説明します。
筆者は父親の仕事の都合で、小学校3年生~5年生の間オランダに3年間住んでいた経験があります。自分の体験談から、メリットとデメリットをバランスよくお話ししたいと思います。
海外駐在に家族を連れて行くメリット
海外に住むこと自体にスペシャリティがある
海外に住むことと旅行で海外に行くことは全く異なります。ですので、住むことでしか経験できないことがあり、住むこと自体に大きなスペシャリティが存在します。
日本では当たり前のことが当たり前でないといった経験は日常茶飯事であり、その経験をするたびに新しい考え方に触れ、よりダイバーシティに飛んだ人間へ成長します。私も、現地のサッカーチームに所属していましたが、日本と比べてサッカー自体を楽しむ姿勢が高いことに初めは驚きました。徐々に、エゴを持つことや笑ってプレーすることの大切さに気付くことができ、自分の価値観にも大きな影響を与えたと感じています。
良い経験だけでなく、怖い思いや嫌な思いをすることもあるかもしれませんが、それらを含めて様々な経験をすることで、人間性や知識が深まり、そして大きく拡がっていくことでしょう。
これは子供だけでなく、大人にとっても非常に大きな経験であり、パートナーを含め大人にとっても素敵な経験となるはずです。
日本に帰った時、視座が高くなったことを実感できる
上記のような経験をすることで、子供だけでなく大人も含め、日本に帰った時に視座が高くなったことを様々な場面で実感します。
- 駐在前は他人事に感じていた世界のニュースを身近に感じる
- 為替相場が意味のある数字に見えるようになる
- 日本人らしさ、日本の良さを改めて感じることができる
- 知的好奇心が圧倒的に向上している
グローバル化が進む現代において、グローバル目線での考え方・ものの見方をもった人材は非常に価値の高い存在です。海外に住むという経験を通して、グローバル人材として大きく成長したことを実感できるはずです。
家族の時間が増える
海外では子供が一人で行動したりすることが日本と比べて難しいという不便な点がある一方で、その反面として家族の時間が増えるという非常に大きなメリットがあります。
私が駐在していた時も、毎週のように車で観光地へ出かけ、家族旅行が当たり前の日常でした。
家族全員にとって海外駐在はチャレンジングなイベントですので、その苦労を家族全員で共有し、家族一丸となってそれを乗り越えるという経験は、家族にとって一生の宝物となることでしょう。
日本にいる時は友人や親戚が近くにいるためなかなか感じることのできない家族の大切さを、家族全員で改めて感じることができるという点は、海外駐在の非常に大きなポイントだと思います。
海外駐在に家族を連れて行くデメリット
日本よりは行動が制限されてしまう
ご存じの通り日本は非常に治安の良い国ですので、普通に暮らしていれば怖い思いをすることはありませんし、子供だけで公園に遊びに行くことも可能です。
しかし、海外駐在となると行動は少なからず制限されてしまいます。例え安全な地域だとしても、仮に迷子になった時に言葉が通じないということもあり、子供だけで自由に出かけることは難しいでしょう。私も近所の公園以外は基本的に両親の車で移動していました。日本のように子供を放牧して、両親は自宅でのんびり、なんてことはなかなかできないかもしれません。一方で、前述の通り家族の時間が増えるというのがメリットでもあります。
国によっては自分で車を運転することが許されず、ドライバー付きの移動しかできない場合があります。また、決められたエリア以外には出歩くことができず、現地感を味わえるような商店街や下町には近づけない国もあります。
せっかく海外へ住んだものの、思っていた程自由な行動がとれず、経験できることの範囲も限られ残念な思いをするという可能性もあること、ご留意下さい。裏を返せば、危険な地域であったとしても、会社や現地の大使館が自分たちの身の安全を確保してくれるということを意味していますので、その点はご安心ください。
子供の学校の選択肢に制限がある
海外駐在の場合、基本的には子供の学校は、日本人学校、現地校、インターナショナルスクールの3つの選択肢があります。
もちろん現地校はいたるところにございますが、日本人学校やインターナショナルスクールがある場所は限られています。事前に住むエリアにどんな学校があるのか確認するようにしましょう。
私は毎朝1時間半かけてスクールバスで日本人学校に通っていました。今思えば、毎日6時に起きて小学校に通っていたと思うと凄まじいです。
また、日本人学校は中等部までしかないのが普通でして、上海の日本人学校は高等学部がありますが、基本的には高校に入学するタイミングで帰国することが一般的です。子供の年齢次第では、子供だけ途中で帰国したり、単身赴任となったり、家族全員で一緒に暮らすことが難しい場合があります。
日本人学校は日本の学校に通っている時よりもハイレベルな学習環境であることが多いですが、インターナショナルスクール、特に現地校へ通う場合は補習校に通ったり、ご両親が土日に勉強を教えてあげたりと学校外の時間での学習サポートも必要です。
日本の親戚、友達とお別れをしなければいけない
当たり前ですが、日本にいる知人と気楽に会えるような環境ではなくなります。子供はもちろんですが、自分のパートナーも駐在先で孤独を感じる可能性があるということを認識しましょう。
駐在先には日系企業が集まっており、自然と日本人のコミュニティができている場合が多いですが、上述の通り簡単に自転車で移動してランチするといった環境でない場合もありますし、日中に一人寂しく家で留守番をするしかないという可能性もあります。
海外駐在後の数カ月は、自分は仕事が忙しくバタバタしている一方で、パートナーは頼れる人が周りに全くいなく寂しい思いをするため、感情にも差が出てきます。家族全員で状況を理解し合って一緒に乗り越える姿勢を持つことが大切です。
もちろん、駐在先の学校や近所、習い事などでたくさんの素敵な出会いも待っており、国境を越えた友達ができるということは素晴らしいことです。
駐在先によっては、まずは単身赴任とし、半年後や1年後に家族を呼ぶといったケースもあります。自分そして家族にとってどのパターンが最も適しているのか話し合うようにしましょう。
家族とよく話し合い、納得のいく決断を
海外駐在・海外赴任に家族を連れて行くメリット・デメリットをおさらいします。
メリット
- 海外に住むこと自体にスペシャリティがある
- 日本に帰った時、視座が高くなったことを実感できる
- 家族の時間が増える
デメリット
- 日本よりは行動が制限されてしまう
- 子供の学校の選択肢に制限がある
- 日本の親戚、友人とお別れをしなければならない
また、これは下世話な話ではありますが、単身赴任を選択すると会社から単身赴任手当をもらうことができます。また、会社のお金で年に数回帰国することも可能です。金銭的な面をクレバーに考えるのであれば、単身赴任という手もあるとは思います。
私は個人的には家族と一緒に行くことをお勧めしますが、最終的には家族とよく話し合い、納得のいく決断をして頂ければ幸いです。
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